「うわっ」
まるで化け物にでも遭遇したかのように
ビクッと驚いた声をあげた男は
「え…?誰?」
と眉を寄せた。
今時の、頭の悪そうな男を想像していたが
スーツ姿の男は
180センチ近くある俺と、そう変わらない目線で
黒髪なのに、どこか派手さのある男だった。
「もしも~し?」
まじまじと男の顔を
ひたすら見ていた俺の目の前で
ひらひらと掌を翻す男は
切れ長の目を不思議そうに歪めて
顔を近付けてきた。
年上に見えるが、喋るとイントネーションが若い。
ふざける様な声の音調が
見た目とのギャップを感じさせた。

