今は一人で考えていても 悪い方向にしか思考が向かなかった。 「あれ…」 前方のユキの後ろ姿が消えて居ることに気付く。 辺りを見回し、ユキの姿は、またすぐに見つける事ができた。 ユキは目の前に建つ 三階建てのシンプルな白いアパートの二階の廊下を歩いて居た。 俺の位置からは 顎から上ほどしか見えないユキが 三つ目のドアの前で立ち止まり 足下を向いて誰かと話して居る。 表情までは見えない。