「俺がユキくらいの歳の頃は 珈琲が美味いなんて思った事なかったよ。」 しばらくして起きてきたユキは 俺が入れた珈琲を片手に まだ重たそうな瞼を持ち上げながら そうなの? と笑った。 「あぁ、飲める振りはしてたけどね モテたかったから。」 カップに口をつけたまま ふふっと笑うユキが 『誰に?』 そう言って覗き込むようにこちらを見る目は とても大人びて。 不覚にも、ドキッとしてしまった俺は また、酷い罪悪感に襲われた。