「あぁ、そっか、そうだな、じゃあ珈琲にしような。うん、そうか。それがいい。」 まるで、反抗期の娘が返事をしてくれて舞い上がる親父のように 俺は笑えるくらい、静かに舞い上がった。 コンロでお湯を沸かしながら 「珈琲が好きなんだな。」 そう聞くと 『うん。』 彼女はようやく、こちら側を振り向いた。 「そういえば、いつも缶珈琲飲んでるもんな。」 『そうだね、もう中毒みたいなもんだよ。』 友達の影響でね、 と付け加えた彼女は とても悲しそうで。 俺は、思わず出かけた言葉を飲み込んだ。