その時、甘い香りがした。

イチゴの甘ーい甘ーい香り。

「ねぇ里沙っ!今隣通り過ぎたのって加山くんじゃない!?」

いつものようにハイテンションな双子の妹の里奈は、興奮しながらあたしに言ってきた。

「加山…くん??」

全く"加山"って人を知らないあたしは里奈に聞き返した。

「そう!知らないの?サッカー強くて、優しくて、人気もので…」

里奈は一度語りだすと止まらない。

だからあたしは途中からは聞き流す。

その話しが男の人の話しならなおさらね。