一成は顔に疑問符を浮かべながら、私と向き合うようにベッドの端に座る。

私を見上げる一成を見て、この角度から一成を見るのは初めてだな、と思った。


私がそんなことを考えているとは知らずに、一成は漆黒の瞳で私を見据える。

それは早く話せと、催促しているのだと気付いていたけれど。

自分から話があると言ったくせに、私はなにから話していいのかわからなくなってきた。


漆黒の瞳を前に内心冷や汗をかきながら、口を開いたり閉じたりを繰り返していると。

ふっ、と一成の表情が皮肉げにゆがむ。


「虎と付き合うって報告か?」

「えっ?」

そして一成はその表情のまま、いつもと同じ声のトーンでそう言う。

予想だにしていなかった言葉に、私は考えていたことが全て吹っ飛んでしまった。