それにしても二人の瞳の色は本当にそっくりで、瞳だけ見ているとまるで一成と話しているような気分になってくる。

従兄弟同士の二人が似ているってことは、もしかしたら隔世遺伝なのかな。

漆黒の瞳を見つめながら、見たこともない二人の祖父母を想像していると。

ヘラヘラ笑っていた虎の顔が真顔になり、髪に触れていた手が私に向かって伸びてきた。


伸びてきた手は、そのまま私の頭を優しく撫でてくれる。

……やっぱり、虎に触れられることは嫌でもないし怖くもない。

それどころか、頭を撫でられるその感覚はとても心地好かった。


だけどここは住宅街で、私の家の前だ。

誰かにこんなところを見られたら何を言われるかわからないし、もし家族に見られたら絶対にからかわれてしまう。


「虎?あのね、誰かに見られたら恥ずかしいから……」

私は真顔のまま頭を撫でてくれる虎に、遠回しにやめてくれと頼んだ。