「たくさん苦しんで……だから、これからはきっと楽しい事ばかりですよ」 ……そうだといいな。 損した時間以上に幸せな時間を沢山過ごせたら。 「前に僕が言ったように、20代は沢山楽しんで下さいね」 そこまで言うと、今度は高橋があたしの耳元へ顔を近付けてきて、あたしはそれに耳を傾ける。 「まぁ、取り敢えずは……退院したら、覚えててくださいね?」 医者らしい口調で、ニヤって笑うと部屋を出ていく。 ……退院したら。 多分、病院にいる間はあたしに何もしないって事だと思う。