「はい、いいですよ」
高橋の声を聞いて、あたしはボタンに手をかけて前を止める。
看護師さんは、高橋が使った器具を受け取ると片付けて部屋から出ていった。
「……大丈夫?」
まだ傷のあった位置を見つめるあたしに、高橋が心配そうに声をかけた。
「うん。全然平気」
フーと息を吐き出すと、高橋も安心したような顔になった。
「傷の様子も順調だし、もうすぐ退院できますよ」
ベッドに腰かけて、カレンダーを見ながら高橋が言う。
退院……。
この長かった入院生活とお別れ。
やっと外に解放されるんだ。
……でも。
「……寂しい?」
ニヤっとしながら聞いたあたしに、高橋は微笑みながら
「嬉しいです」
と答える。



