すると高橋はいきなりあたしの服の上から、人差し指で触れるか触れないか分からない位の距離で真っ直ぐ線を書いた。


「ここに、傷がある」


見てないから、正確な位置はあたしは分からないけれど。



「……ごめん。僕が、傷付けた」



高橋が書いた線の辺りを見ていると、高橋がボソッと言った。



すぐに顔を上げると、目の前の高橋は悲しそうな顔であたしを見ていた。



「……しょうがないよ。治す為だったんだし……
それに、こうなったお陰で少しずつ良い思いが出来るようになったって事も分かった」


あたしは、高橋に笑顔を向ける。


ありがと、の想いも込めて。



だから、そんな顔しないで。




高橋のお陰で、ずっと食べれなかったケーキを食べることが出来るようになったし。



きっとこれから、少しずつ出来るようになることが増えていくと思う。



悪い事ばっかりじゃなくて、良い事が。





でも、問題は……。



「こんな傷があっても、高橋はあたしを好きだって言ってくれるの……?」


もう一度、高橋に聞く。


高橋は、あたしを見てニコッと笑うと、あたしの胸元へと顔を持っていく。


そして、服の上から、あたしの傷にゆっくりと……口付けた。