「病院抜け出して、我が儘言った後に発作起こして……手術してくれたのに。あんな酷い事言ってごめんなさい……」
ごめんね、高橋。
高橋は、一生懸命医者としての務めを果たそうとしていたのに。
「岡本さん、顔、上げて?」
優しい高橋の声が上から降ってきたけれど、あたしは首を横に振る。
あげれない。
申し訳ないと思ったら、涙が流れてきた。
今顔をあげたら、泣き顔を高橋に見せる事になってしまう。
「高橋は、あたしを助けるために手術してくれたのに……」
あたしの為に。
「高橋に 手術、手術って言われるのが嫌で……
どうしても、これから楽しむ為には傷を作りたくなくて。
だから……手術されたのが、傷つけられたのがショックで、何も悪くない高橋に当たるように酷い事言って……」
死んだ方が良かった、なんて言って。
……助からない人もいるあの病院で、助かったあたしが絶対に言っちゃいけない言葉だった。
せっかく助けてもらった命を、そんな風に言って。
「ごめんなさい……」
本当にごめん。
……高橋は黙ったまま。
涙声だし、あたしが泣いているのにもきっと気付いてると思う。
……高橋に何度も悲しい顔をさせたりもして。



