高橋の家は、さすが医者だなーって思うくらいの立派なマンションだった。


でも、中は普通……。

っていうか、家具とかも普通に売ってる物とかで、凝ってなかった。


「どこかの有名な家具揃えてんのかと思った」



部屋を見渡してそんな事を言ったあたしに、高橋は買ってきた袋を床に起きながら

「別に家具なんて使えたらどこでも良いでしょ」


と、庶民的な回答をしてきた。






マンション自体の外観は立派だけど、部屋はあたしの家と変わんないじゃん。

ちょっと一つ一つの部屋が広いくらいで。




高橋が住んでるからそう思うのかもしれないけど。




「何か飲みます?」



部屋を物色してる間、買ってきた物を袋から出して冷蔵庫に入れていた高橋は、それが終わるとあたしに聞いてくる。



「いらなーい」

そ、と高橋はキッチンの方からこっちの部屋へと来て座る。





……今思ったんだけど。


何もする事無くない?





特別、話す内容も無いし……。


今手術した時に言った酷い発言について謝るか……とも思ったけど。



これから先の事を考えたら、今話すのは気が引ける。



重たい空気のまま、夕食食べて、ケーキ食べても楽しくないだろうし。