食品売場に向かって、高橋は野菜を買っていく。



「……何笑ってるんですか」




野菜をカゴに入れながら怪訝そうな顔であたしを見る高橋。




その後ろを付いて行きながら、あたしは声を出さずに笑う。




ここで大笑いしたら、周りのお客さんに不思議な顔で見られるし、傷も痛い。



でも、それ以上に今あたしの目に映ってる姿は不思議な光景。



「高橋が買い物してる……野菜買ってる」





「そりゃ僕だって買い物位しますけど？」



少し不機嫌に答えながら歩いていく高橋。



だって……似合わないんだもん。

高橋と買い物が。


「持つよ？」




何か手伝おうとすると、




「重たいんで良いです。付いてきてくれたら」