あたしはもう満足なんだけど……。



プラネタリウムも見れたし、たこ焼きは美味しかったし、映画は観れたし。






なにより、病院のベットの上でせっかくの誕生日を何もせずに過ごす……なんて事にならなくて良かった。



「もう十分。家に帰る」



本当にもう十分だし、高橋もお疲れみたいだから、今から帰って休んだ方が良いと思う。




「帰る?」



「うん。高橋も帰って寝た方が良いよ」




「僕は大丈夫ですから。遠慮しなくて良いよ?」


遠慮なんて全くしてないけど……。



本当にもう十分。




ステーキとケーキは食べたかったけど。



家に帰ったらお母さん達が買ってきてくれてるんじゃないかな……って思うし。





「本当にもう十分。だから、帰る」




あたしが告げると、高橋は少し間を取った後、



「分かった。帰る前に、食品買っていい?」



そんな、家庭的な事を言い出して歩き始めた。