「映画?」



やっと次の場所に着いて、ここがどこか分かって声を上げたあたしに高橋は無言であたしの手を引いて行く。



受け付けで、勝手にチケットを買う高橋。




しかも、見るのはアクション映画みたいだし。


座ってスクリーンを見た後に、また座ってスクリーンを見るんですか。



心の中で、高橋にそう突っ込んでも口には出さないのは、それが高橋の優しさだって分かってるから。



……手術した後、あたしは全く外に出てなかった。



出ても、中庭位でそこまで長い距離を歩く事もしてない。


だから、いきなり外に出て歩いてあたしが疲れないように、わざと動かなくて良い場所に連れていってくれてるんじゃないかって。



気にしなくても良いのに。




高橋がつれ回すって言っても、プラネタリウムはあたしが大好きな場所だったし。



この映画はあたしが好きかどうかは微妙……だけど。



ってか、その優しさに気付けるようになったあたしは……ちょっとヤバイかも。