高橋の所までやっと追い付いた時、高橋が不意にあたしの前に手を差し出してくる。





……掴め、握れって事ですか。



差し出された手を見て、そのまま高橋を見上げる。


「ごめん、やっぱり歩いたら痛い?」



申し訳なさそうな顔であたしを見る。





「もう少しだけ歩いたら、あとは動かなくて良いから」





高橋は、あたしが傷が痛くてゆっくりしか歩けないって思ってる?



だから、そんな顔してるんだ。



「違う。傷が痛むんじゃない」


だから、そんな顔しないでよ。




確かにまったく痛くない訳じゃないけど、高橋が心配するほどじゃない。


「コレ。ブーツが歩きにくいだけ。でも……これで大丈夫だから」


そう言って高橋から差し出された手を握る。



自分から握るっていうの……恥ずかしくて、顔が熱くなるのを感じた。



「無理しないでくださいね」


高橋は、再びゆっくり歩きだす。

「……あたしが転んだら、道連れになるね」



転ばないように気を付けるけど……



「ちゃんと支える」