高橋はあたしが降りたのを確認すると、キーでロックをかけて、建物の方へと歩きだす。


ちょっと待ってよ……。



高橋、歩くのが早い。



いや、普通なのかもしれないけど、あたしは慣れないブーツ履いてて。



追い付こうと努力するのを諦めて転けないようにゆっくり歩く。



「……どうかしました?」



距離が離れた事に気付いた高橋が振り返って立ち止まる。



「別に」



ブーツが慣れなくてゆっくりしか歩けないからゆっくり歩いて下さい、なんてお願いするのも嫌だし……



「はい、」