高橋が……これをねぇ……。



多分。



傷を見ようとしないあたしは、どこに傷があるのか詳しく分からないから



こんな見えるか見えないか分からない服を着ることは無かったと思う。


だけどこれからは、このニットワンピを目安にして、この位なら大丈夫だって服を選ぶ事が出来る。


「……ありがと」



デザインも、結構あたし好みだし。



俯いて、ワンピを見ながらお礼を言うと、フッと高橋が笑った声が聞こえて。



「……どういたしまして」



前を見ながらも、優しく微笑んでいた。








……このまま、ブスっとして過ごすのも勿体ない。





せっかくの誕生日だし、認めたくないけど好きな人と過ごせる……訳だし。


せっかくだから、楽しまなきゃ。


「せっかくの誕生日だし、楽しも」



小さく呟いた。