どこに向かおうとしてるのかも分かんないし……。



お互い、口を開こうともしないし、車内はラジオも音楽も流れてない。



ただ、気まずいだけ。



あたしは、窓にくっついて外を見ていたけど、高橋の方を見る。



……久しぶりの高橋の私服。




メガネ、今日はしてないからコンタクトって事か……。




服も白のインナーに黒のジャケットとジーパン。




この姿だけ見てたら、医者してるなんて分からないかも……。



「ん?」


高橋があたしの視線に気付いたらしく、首を傾げてくる。


……このまま、沈黙が続くのも嫌だしあさみ達が考えてる事も知りたかったあたしは、口を開いた。


「……意味が分かんないんですけど。
なんであたしが高橋先生の車に乗ってるんですか。

あたしは、あさみと椿と遊ぶために今日外泊許可貰って……」





車に乗ってるのは、2人に無理矢理押し込められたからなんだけど……。



なんでこんなことになってるのか、説明してもらわないと!





「それ、嘘」



「は?」



「今日は僕がお祝いしますから」

前を見ながら笑顔で答える高橋。