「音聞かせてね。
あ、服は前開けなくて少し捲ってくれたら良いから」



そう言われて少しだけ上に捲った服の間から聴診器が入ってくる。


冷たい感触が伝わる。


「……今日、清水先生休みだから。僕で我慢してね」


顔を横に背けて終わるのを待っていると



するりと高橋の腕が服から抜けて高橋が口を開いた。



清水先生が休みなら仕方ないか……。



あたしの事を考えて傷が見えないように配慮してる優しさは有難い。



「今日、夕方入浴出来るから、多分看護師さんが呼びにくると思う」




服を元に戻してあたしは高橋を見ないようにしたまま頷く。



「あと……傷がまだ痛むかもしれないけど、なるべく歩くようにしてね。


最近ずっと動いてないみたいだから。
寝たきりは体に悪いので」



……動いてないってどうして分かんの?



朝と夕方しか来ない癖に。







「分かった」





「どこかに行く時は看護師さんか僕に一言言って下さい。
病院の外には出ないで下さい」



……外まで歩けると思ってるの?