高橋に絶対相談なんかしないと思う。
「まぁ、高橋先生の仕事は主に脱走ばっかりする心ちゃんを脱走させないようにする事だろうけどなー」
笑う清水先生。
つまり……コイツはあたしが病院を抜け出さないように見張るつもり?
「出来ますかね?あたし、用事があったら抜け出すつもりだし」
「まぁ、検査受けて大丈夫だと判断できたら帰れるから。それまでは大人しく寝てなさい」
ぽんぽん、と肩を叩かれて清水先生はにこやかに話すと部屋を出て行った。
高橋もあたしに軽く頭を下げて部屋を出ていく。
この時……あたしはちょっと高橋をなめていたんだ。
弱々しそうだし、大したことないと。
ただ、清水先生の後ろに引っ付いて回る指示待ちの医者だと。
高橋をそんなふうに思っていたけど。
案外、この高橋が手強かったんだ。



