♪〜♪〜〜〜


バックの中から着信音。



焦る事も無く携帯をバックの中から取り出してサブディスプレイの名前を確認する。



……高橋。


かけるならもっと早くかけてよ、って言いたい。


自分から逃げたんだけど。



「はい」





出るかどうか数秒迷ったけど、結局出た。



『岡本さん!?走ってどこ行った!?!?』



……電話の向こうも人の雑音で良く聞こえない。




きっと高橋もショッピングセンター内を探し回ってるんだろうけど。



あたしは大きなため息を吐く。



『岡本さん!?』





…うるさいな。



そんなに何回もあたしの名前を呼ばなくたって聞こえてるってば。



「……あんたさ、馬鹿じゃないの?
逃げた相手にどこに行ったか聞いたって教えるわけないじゃん」