あたしは絶対この話が終わるまでは部屋に戻らないから!
高橋が動いたことで、ブランケットの間から冷たい空気が入ってきた。
それをギュッと体に巻き付けて、ベンチに居座ろうと身構える。
「じゃあ、とにかく院内に入りませんか?
このままだと本当に風邪引くし……」
珍しく何回も部屋に戻りましょうって言わない高橋。
いつもはあたしが何か言っても戻そうとするくせに。
「……とか言って。
部屋に戻そうとしたりしない?」
あたしはブランケットを握りながら高橋を見上げる。
「しない。さっきの外出の件の話も聞かないといけないし。
はい、立って」
高橋はあたしを見下ろして笑うとあたしの腕を掴んで立ち上がらせる。
あたしは立ち上がると、ブランケットを綺麗に畳みながら前を歩く高橋に付いて行った。
高橋はあたしの前をゆっくりと歩く。
……多分、あたしに合わせてくれてる。
でも、この縦列は嫌だ。
あたしは歩調を早めて高橋の隣を歩く。
「……どこ行くの?」
「……」
聞こえてるはずなのに答えない高橋にいらっとする。



