あさみには勝てない。


あたしの思っている事、

している事をすべて見抜いてる。



それを黙っていてくれれば良いのにわざと声に出して言われるから恥ずかしい。

「……心は、高橋先生が優しいのはあんたに手術を受けてほしいからって思ってるの?」



「うん」

絶対にそう。



じゃなきゃ優しくする理由なんて無い。


自分で言うのもなんだけど、こんな生意気な人間に。



あたしは優しくされても手術する気は無いけれど。

手術するまでは……



そう割り切って我慢して、高橋はあたしに接してると思うし。

「それだけであんなに出来るかなー?」



あさみはストローで氷を突く。

そのたびに動いてグラスに当たり、

カランと鳴る氷をあたしは見つめる。

「……どういう意味?」



「だってさー?もし心が医者だったらさ?」


口を尖らせながら有り得ないもしも話を始めたあさみ。



「有り得ないけどね」


「んな事分かってるよ」