……あたしが無視してるんじゃなくて本当に聞こえて無いとでも思っているのか。



さっきよりも大声で叫ばれる。



「岡本さん!」

あーっ、もう!

煩いな。

聞こえてるってば。



わざと無視してるんだってば!



大きな声で叫ぶなっての。



周りの人がジロジロ見てくるじゃない。

それに、偉そうに先生ぶってあたしに命令してきてさぁ。

それもムカつくんですけど。



大体、あんたの言う事なんてあたしが素直に聞くわけないじゃない。


「――高橋」



このままずっと無視を貫き通しても良いけれど。

でも、これ以上高橋に叫ばれたら困る。



周りの視線が気になるし。


あたしは一度立ち止まり、首だけ高橋の方へ振り返る。