うらはらっ! [短編]






「…あのさ。」





誰もいないと思ってたのに、突然声がして、びくっと反応するあたし。



しかもこの声…





「茅乃…だよな?」





やっぱり…!陽太だ
タオルで顔を隠してるから見えないけど…


でもなんでここに?
体育館、近くないよね?



「うん…。」



涙声にならないよう、なんとか返事をする。



「…何してんの?」



そう聞かれて



「ちょっと…疲れちゃって。休憩中!」



考えておいた嘘をつく。
なのに



「嘘だろ。なんで泣いてんの?」



なんて返されちゃって。
わかってるなら話かけないでよ!って言いたいけど、その前に、言わなきゃいけないことがある。