「何でもないよっ! 早く音楽室行こっ!」
って言って何でもないふりをする。
本当は先生にやきもちやいてるんだよっ。
でも、言えないよ。
この関係が壊れるかもしれないから。


「そう言えばさー、裕明勉強してんの?」
笑いながら言ってくる。

「ちゃんとしてますーっ!」

「裕明はアホなんだから勉強しろよーっ!」
って言いながら顔を覗いてくる。

「うるさいなーっ!」
って照れ隠しで肩をたたく。

今日はこんな話をして音楽室まで行った。

音楽室は3年生の教室の前を通って行かないと行けない。
先生と話しながら行くと睨まれる。
3年生には人気者なんだね。
だけど、気にしないで先生は話してくる。
だから早歩きで通り過ぎる。

音楽室に着いていつものように掃除を始める。
音楽室掃除は本当は3人いるけどサボってどっかに行ってるから先生と裕明しかいない。

だからこの時間が1番好きだっ。
先生と1対1で話せるから。
掃除が早めに終わって先生と話してた時。

「裕明っ!終わったー?」
見ればわかるでしょ!
先生の気を引こうと必死かっ!
って言いたくなる。
声と行動が裕明達と話してる時と全然違うんだもん。

「終わったよ。」

「んじゃー、帰ろっ!」

「うん。」
いつも、もっと先生と話していたい。
いつも、先生と帰りたい。
なのに、いつも稀雅が来る。
いつもいつも邪魔をする。
わかってるよ。なんで邪魔するのか。
裕明と先生を離すためでしょ?
一緒にいさせたくないからでしょ?
だから、だから稀雅とは一緒にいたくない。
パッと先生の方を見たら下を向いていた。
どーしたんだろ?

「裕明っ!先生がさー掃除やれーって来たーっ!」
いつもだ。いつも自慢話をする。
自分が先生にやられた事を裕明にやってくる。
本当にイライラする。
日に日にストレスはたまっていく。

「ふーん。」
いつも返しはこうだ。
だから早歩きで3階まで行く。
自慢話なんて聞きたくないから。