「か、翔ちゃん…」





翔は莉奈のほうをキッとひと睨みし、そのまま私のほうへ歩いてきた。





「りん…」



「やっ!」




バシッという大きな音とともに、行方を失った翔の手が宙をさまよった。


「あ……、わ、わたしっ……帰るね…」






それしか言えなくて、私は部屋から飛び出して階段をかけおりた。




「りん!」と上から声が降ってきたが、振り返って戻るなんて…戻る権利なんて私にはない。



ただただ外へ…靴を急いで履き、私は翔の家をでた。