年下ダーリン

「なに?」


私はしかたなく口をモゴモゴ動かしながら言った。



「あ、明日……、莉奈ちゃんに会いたいな、て思って…」



「莉奈に?」



なんで?と言いたげな驚いた翔に、私は言葉を返した。


「この前会って…なんか変な別れ方だったから……、ちゃんと話がしたいの」



あのときの莉奈ちゃんの顔を思い浮かべると…少し心が痛む。
きっとあの表情は…翔のことをただの『お兄ちゃん』だと思っているようには見えなかった。
『婚約者』だって言ったことにも、きっと…別の意味があるのかも……


そんなことをもう一度莉奈ちゃんと会って話がしたかった。



「ふーん…」



無表情で気のない返事をして、今度は翔がそっぽを向いた。


「え?なに、どうしたの?」



「別に、なにも」



翔がこんな風に接してくることはあんまりなかったから、内心結構焦っていた。私は翔の顔を覗き込もうと正面に回った。しかし、翔もまた違うほうを向くため、私たちはグルグルと回りながら、追いかけっこをしているようだった。



「もー、どうしたのよッ?なんで怒ってんの?」




じれったくなった私は、一旦止まって腰に手をあて、翔に聞いた。
翔は素直に止まって、でも私には背を向けたまま小さな声で言った。