――『唯……』



―――『いやっ!!大ちゃんっ…!!』









あぁ〜…、ずっ…。









私はハンカチを取り出さないまま、鼻をすすった。鼻筋がツンと来て、目が潤んでいるのが自分でも分かった。










これっ…、ずっ、今月読んだヤツの中で一番ヤバイかも…、ずずっ!!









タオルをあてることなく、鼻をすする。どうせ周りに人はいないし、私はあんまりそんなこと気にしないし。









「いいわ〜…。」










「お姉さん」










声をかけられたことにも気付かないまま、下を向き、文庫本に夢中で涙を流す私。









てか、私に声をかけたんじゃない、て思った。お姉さんなんてガラじゃない。私じゃない別の人だって……。