「ゴメン…、依子……」



依子はムスッとして顔をタオルで拭いていた。




「いいけど。りんってこんな子だし」



「ゴメンって!!つい……」



「つい?」




目ざといというか、鋭いというか…。依子は私のかすかな言葉にも反応して突き詰めてくる。私はウッとなりながら、今回の反省も含め、依子に素直に話した。




「つい……翔の名前が出ると、動揺…すんだもん」



「名前だけでー?」



依子は額に手をあて、うなだれていた。そりゃそうだ。依子からしてみれば、私の反応はピュア通り越して、少し以異常に映っているに違いない。



「だ、だって……、『翔』て聞くと、胸がこー……痛いっていうか…ズキズキしてたまんなくて、身体がそわそわしてしまうというか……」



日に日に自分が自分じゃないみたいに感じる…



男にはなから興味がなかった私が、

まさか小学生に……恋して、

溺れて自分まで見失ってる……





『恋は自分を変える』
その言葉は、恋の作用を示すのに、とってもピッタリな気がした。