「こーらッ、りんッ!!またそんなとこに寝っ転がってー」



「小姑みたぃなこと言わないでよ」



「ほらッ、制服に芝ついてんじゃんッ!!もー…」




依子は私の目では見えない背中のほうに回り、芝をひとつひとつ掴んでは、あたりに投げていた。できた、という依子の笑顔に、私は一言、ありがとう、と返した。







依子は買ってきたパンを並べて、私の向かいに座りこんだ。私はてきとうにパンを選んで口に頬張った。



「あッ!!りんったら、意地汚いんだからー」



「へふにひひひゃん」



パンを食べながらしゃべった私の分かりにくい言葉を、微妙に理解した依子は、ハァっとため息をついた。



「そんなんじゃ、翔くんに愛想尽かされるよ?」



「んぐッ!!!!」




思わぬ名前に私は食べていたパンを、うっかりのどに詰まらせてしまった。依子はあわてて私の背中をたたき、一命をとりとめることはできた。依子の力強さに感謝する。




「なんでッ、翔が…ッ!!!」




「なによ、今更何驚いてんの?」




「はッ?」





「好きなんでしょ?翔くんのこ・と♪」




私は飲みかけのお茶を勢いよく依子の顔に噴射した。まるで、マンガのように。