依子とのケンカも終わり、私たちは元に戻った。いつもみたいに、まだ翔のことに関しては積極性がない、と怒られっぱなしだけど、それでも昔より素直に話せてる気がする。




依子がパンを買いに行ってる間、私は廊下からグラウンドを見ながらボーッとしていた。すると、後ろから翼がドンッと背中を押して驚かせてきた。




「ちょッ!!落ちたらどーすんのよ!!」






「わりッ!!…依子と仲直りしたんだって?」




「まーねー」



隣に翼がやってきて、私はまたグラウンドに目を向けた。



「ホントお前ら、仲よしだよな」



たまに妬ける、と付け足して、口をとがらせた翼を笑いながらこずいた。向こうから依子が走ってくるのが見える。私は身体を起こして、依子のほうへ歩いて行った。


あ、と言って翼のほうを振り向いて、笑った。自然に出た幸せな笑顔だった。










「大好きなんだ、依子のこと」









そう言い残して、私も依子の元まで走って行った。