「ゴメン」




私は深く頭を下げた。依子は座ったままこちらを見ているようだった。そのまま、私はこ言葉をつづけた。




「意地張って、依子がせっかく言ってくれてたのに聞かなくて……」







「………」






「私、大事なこと忘れてた。婚約者とかホントはそんなこと関係なくて…ただ怖がってただけだった。『そうだよ、婚約者だよ』て翔に言われることを考えると…怖かったの」







「……りん、もう…」






依子が立ち上がって、私の背中に触れた。私は上半身を起こして、依子を見た。依子はすでに目が少しうるんで赤くなっている。




「翔も大事。だけど…依子も大事だよッ!!一番…私の中じゃ同着で一番なんだよッ!!」







『りんがいっちばん好きだよッ!!』





そう言って抱きついてきた依子を思い出す。そんな恥ずかしいこと、私のガラじゃないからできないけど、私だって依子が大事…。何にも変えられないくらい大事なんだよ。