年下ダーリン

「よくある捨てゼリフ吐いちゃって…」




ドアに背を向けたまま、独り言のようにボソッと言った。背中は依子の視線を感じていた。



「りん……」




静かに振り向くと、依子が机から離れ立ち上がってこっちを見ていた。私はなんだか依子と目が合わせられない。




「り……」



「ごめん」



「え?」


「私のせいで嫌な思い…させた。私のために飛田にこびてたんでしょ?なのに、私……」




下を向いてると、涙が出そうになる。泣くつもりじゃないのに、目が潤む。



あー…依子が見てるのに……。もぉヤダ……





そのとき、フワッといい香りが私の鼻に届いた。やわらかい髪が頬に当たり、ギュッときつく抱きしめられた。

私が自分より小さい依子のほうを見ると、依子は私を見てニカッと笑顔を見せた。少しだけ涙を浮かべて……



「私も、りんがいっちばん好きだよッ!!」





依子……





「『も』ッて……。私好きとか言って…」

「照れない、照れない」



再びギュッと抱きしめてきた依子の頭をポンポンと撫でながら、温かい気持ちに包まれている自分に気付いた。


『私も依子が大好きだよ』


…なーんて絶対言ってやんないけど、心で思うだけなら……いいよね?