「依子には分かんないよッ!!翼とだってラブラブだし、心配すること何もないじゃんッ!!!」




私の荒い息の音だけで、教室中はシーンとなった。目の前の依子も、ただ私をジーッと、うつろな目でみつめていた。





そのとき、依子が小さな声で言った。






「……りんはいつもそうだね。自分ばっか悲劇のヒロインで……周りのことなんて…他の人の気持ちなんて考えたことないんだね」





そのときの傷ついた依子の顔が忘れられない。





「よッ……」




声をかける前に、依子はフラフラと教室から出て行った。カッときていた私の怒りは、さっきよりは落ち着いていた。それよりも、心が痛かった。










『自分ばっか悲劇のヒロインで……周りのことなんて…他の人の気持ちなんて考えたことないんだね』




その言葉が私の頭を繰り返しグルグルと回っていた。