「あ、やばッ!!翼くんから着信入ってる!!んぢゃ、りんッ、頑張ってね♪」





「ちょッ…!!より…」





私が声をかける前に依子はそそくさとトイレをあとにした。




ポツンと取り残された私は、もう一度鏡と向き合う。





……翔、なんて言うかな?




『りん、可愛い』




いやいや、それは言わない…




『ヤバイ、ドキドキするじゃん……』





……それはもっとないし~…





…て、いつから私はこんな妄想女になったんだ。





鏡と向かい合うのは止め、トイレから出て教室に向かう。ついスキップしてしまう足取りには、気づかないフリして。