バス停にぽつんと佇むベンチに腰を降ろす。風の冷たさが身に染みた。






「さみぃ!!」






マフラーを巻き直し、おもむろに鞄に手を入れる。









誰も…いないよね??










入れたままの手は、ブックカバーをつけた本を持ったまま、鞄から顔を出した。しおりはもう最後のほうについていて、まさに今から読むところが、クライマックス、めっちゃ気になるところだった。








早く読まなきゃ〜♪











私は本の世界に入って、回りの音が一切聞こえなくなっていた。









だから、誰かが近づいてきたことも、全然気付かなくて、今日もいつもの『何もない日』だって思ってたんだ。