ベアトリクスは、期待はしていなかったが、とりあえず聞いてみた。
「諸葛亮さん、私は劉ちゃんの仲間のベアトリクスです。私、未来に帰る方法を探しているんだけど、ご存じないかしら?」
「うん?知ってますよ」
諸葛亮は劉備三兄弟をそっと引き剥がし、ベアトリクスに向かって数歩進み出た。そして彼は、手にした羽の扇で口元を隠しながら、伏目がちに言葉を続けた。
「僕の仮説では、時間の速さは必ずしも一定ではないのです。この理論を僕は相対性理論と名づけました」
諸葛亮の説明に、いや、彼の人並みはずれた頭脳に、劉備三兄弟は心の底から怯え、全身をガクガク震わせた。
「この理論からいきますと、ベアトリクスさん、貴女が未来に帰るためには、とりあえず光より速い速度で動き続けるのです!」
諸葛亮は扇でベアトリクスを指した。
「・・・無茶言わないでよ。どうやって光より早く動くのよ」
「ふふふ・・・気合?」
「自分だって分かってないのにテキトーな事言わないの。それより、劉ちゃんが出世するための策があるんでしょ?」
「ふむう・・・」
諸葛亮は再び扇で口を隠し、目を閉じて考え込んだ。