「そう。つれないわね、こんな素敵な義弟二人を置き去りにして」
「もう慣れたさ。でもね、諸葛亮って奴はとんでもない智謀の持ち主だっていうから、もしかしたらベアトリクスを元の世界に戻す方法も知っているんじゃないかな」
「120%そんなことは無いはずだけど。ありがとう、関羽」
二人が話す向こうでは、張飛がオイオイと嗚咽を漏らしながら酒を飲んでいた。
次の日の朝、劉備が長身の青年を引き連れて帰宅した。
「みんな、紹介するよ。こちらが諸葛亮だ。俺と関羽と張飛は義兄弟の契りを結んだが、諸葛亮とは水魚の交わりというか、お布団のなかでいたずらな人魚というか・・・」
劉備の説明をさえぎるように、張飛が
「不潔、不潔よォ!」
と泣き叫ぶ。張飛の抗議にもまったく動じることがない様子で、新たな仲間、諸葛亮がくちをひらいた。
「はじめまして。ABCD Eことしようよ Fして Gして Hして Hの後には愛がある。諸葛亮です」
「うわぁ!知恵者だァ!」
劉備と関羽と張飛は諸葛亮を取り囲んで、その智謀を褒め称えながらベタベタと顔や体を触り始めた。
「こら、ダメだよ、こんな昼間っから。アッ!そこはダメだったら!」
大はしゃぎでじゃれあう男たちを、ベアトリクスは少し離れた場所から冷めた目で見つめた。
(うわぁ・・・下ネタ落語だ。しかも、深読みするとかなり無茶なこと言ってるし・・・)