彼と三度の朝帰り


反董卓連合以降、あれやこれやと各地を転戦した劉備たちであったが、基本的にはうだつのあがらない感じで荊州の劉表の元へ流れ着いた。
「今の俺たちに必要なのは、中性的な魅力を備えた、知的男子じゃなかろうか」
そういう考えに至った劉備は、人から伝え聞いた、天に轟く智謀の持ち主、諸葛亮を軍師に迎え入れるため、足しげく彼のもとに通うようになった。
これに、関羽と張飛は激しく嫉妬した。
「兄貴、今夜もまたあの男のところにいくのか!」
「やめろ張飛、兄者はな、ゴリマッチョだけではオトコ帝国は復興できないとお考えなのだ!拙者も悶えそうだが、今は耐え忍ぶのだ!」
「お前ら勘違いするなよ!俺はただ、その、軍師になってくれって誘うついでに、その・・・」
「その、なによォ!キイイイィィィーッ!」
男たちがバタバタと痴話喧嘩するのを尻目に、ベアトリクスは窓の向こうに輝く夜空の星たちを眺めながらため息をついた。
(はぁ・・・もとの時代には帰れないし、こっちの世界でもなかなかうまくいかないし)
「ベアトリクス、なにを沈んでいる?」
関羽がベアトリクスを気遣って声をかけてきた。
「ああ、気にしないで。劉ちゃんはどうしたの?」
「結局、あの男のところに出かけたよ。たぶん、今夜ももどってこないんじゃないかな」