渡り終えておじいさんにもらったポーチがない事に気付いた。 若い頃に誕生日にもらって、今までずっと使っている金魚が描かれている淡い紫のポーチ。 渡ってきた横断歩道の真ん中にポーチは落ちていた。 「…よかった」 あったという喜びに一息つくと、私は元来たその横断歩道を渡った。 ―――その時、青い信号の明かりが点滅している事に私は気づかなかった