「圭、この方が今日からお仕えする淡雪お嬢様だ。」
 執事一族として私が最初に任されたのは、当時小学生だった淡雪お嬢様でした。
 「よろしくお願いいたします。淡雪お嬢様。」
 私は右手を腰の位置に曲げ、左手の五指を揃えて真っ直ぐ頭を下げました。
 「…?」
 頭を下げると、袖を引っ張られる感覚があり目を向けたのです。
 袖を引っ張っていらっしゃったのはお嬢様でした。
 「お呼びですか?お嬢様。」
 お嬢様は楽しそうに私に笑いかけてくださってました。
 お嬢様は両手の人差し指を立て、顔の横で交互に前後に振っておられました。