大穴を固唾を飲んで見つめる影があった。
地上軍腹心、ヴォルテールは眉をひそめ辺りを見回した。
「なんと…アダム様は爆破に飲み込まれてしまわれたのか…?」
困惑した兵達の騒めき声があちこちで聞こえてきた。
兵が混乱しておるな…。このままじゃ如何…!

「地上軍!全兵・一時撤退を開始せよ!!」

ヴォルテールのかすれ声が全域に響き渡った。
地上軍の騒めきは静まり、大群が本陣に撤退を開始した。

ヴォルテールは、その様子に頷くと仮設テントの中に入った。

さて…どうするか?日はやがて落ちる…。
アダム様が生きておられるなら、おそらくはあの穴蔵じゃろう…。
ならば…

「御老公様!!全軍撤退完了致しました!!」