少年は赤髪を振り乱して眼下を見下ろした。走ってきたばかりでまだ息があがっている。彼の視線の先に、3人が死闘を繰り広げていた。
「父上…」
少年が足を踏み出そうとした瞬間、肩を捕まれた。
「どうか、お留まりを…ジュニア様。」
肩で息をしながら、追いついた兵士が少年を止めた。
「どうか…御覚悟をお決めください。…アダム様。」
少年の目が大きく見開かれた。…アダム…俺が…??
頬を汗がつたった。ごくりと生唾を飲んだ。呼吸が荒くなる…。
呼吸を整えるために少年は、大きく一呼吸した。息を吐き終えると、少年の顔に落ち着きが戻った。
「…わかってる…。ここでちゃんと…見届ける。」
少年は、そう言うとじっと3人の様子をうかがった。ふと、少年は、メドゥーサの背後にそびえる崖の上から一つの頭がひょっこり姿を表したのに気が付いた…。