薄暗がりの中、アダムは重たい目蓋をそっと開いた。

空が青白くなってきた…。もう直、夜明け…か。

アダムは、しばし洞窟から外をぼんやり眺めた。
ふと、懐で何やらもぞりと動いた。
包まっているコートの中を覗き込むと、ガイアが縮こまっていた。
「寒い?」
アダムが声をかけると、ガイアはそっと目蓋を開き、ゆっくりと顔をあげた。
「…少し。」
ガイアはそっと呟くと、アダムに体を寄せた。
その体をアダムは優しく包み込んだ。

アダムは、片手をコートから出すと、頭上を叩き煙草を探した。
煙草を一本取り出すと、口にくわえ、火をつけた。
白い息に加え、真っ白い煙が口から漏れた。
「もうすぐ、夜が明けるンやねぇ?早いわぁ〜。」
ガイアはアダムの懐から顔を出した。
そして側に置いてあった着物に気付くと、手を伸ばしコートの中で着込んだ。
着終えると、懐からするりと抜け出し、外に飛び出た。
アダムも、服を着込むと、コートを叩き、それを羽織った。
そして、ガイアの後を追うように洞窟の外に出た。
空を見上げると、さっきと景色が一辺していた。
木々の隙間から、微かに明かりが漏れはじめた。
視線を落とすと、ガイアが深呼吸をしていた。
「これくらい明るかったら、妹はん、探せるやろなぁ?」
満面の笑みを向けられる。
アダムの顔が、思わず緩む。
「ん…そうな。とりあえず食うもンでも探しながら…」
「にぃ〜にぃ――ッ!!」
甲高い声が後ろから飛んできた…かと思うと、いきなり背中からダイブされた。
アダムは、少し体がぐらついた。
慌てて振り返るとそこには…。