『メドゥーサ!!』
息を切らしながら、アダムが丘を駆け上がってきた。
涙でボロボロのメドゥーサの顔を見て、思わず抱きしめた。
『どうした!?何が起きたってんだ!?』
ふと、あることに気付き、そっと体を離した。
『…赤ん坊はどうした?』
声が震える。
その言葉を聞いて、メドゥーサは泣き叫んだ。
アダムは、メドゥーサを再び強く抱き締めると、天を睨み付けた。
『てめぇか…。ふざけんな!!返せ!!オレらの赤ん坊を!!』
さらに天候が荒れ狂う。
天から、唸るような低い声が聞こえてきた。
《ならぬ…!罪を犯した者には、罰を与えなければならぬ…!!さらに…》
巨大な雷雲でできた神は、右手をメドゥーサに差し向けた。
《弊害ででき、さらに人にあらざるべき姿を手に入れたお前を、楽園に置いておくわけにはいかぬ…。
天網を乱した者をココに置いてはおけぬ!!》
神がかざした手から、目映い光が放たれ、メドゥーサを金色の光が覆う。
アダムは、光に弾かれ、後ろに突き飛ばされた。
『メドゥーサ!!何する気だッ!?止めろ――ッ!!』
アダムは、必死に光の壁を叩いた。
しかし、壁はビクともしない。
アダムの悲痛な叫びにも、神は容赦しない。
《お前を地から突き落とし、一人、闇の世界、魔に閉じ籠もるがよい!》
メドゥーサを包む光が強くなる…。
メドゥーサは、大粒の涙を流しながら、必死に壁を叩いた。
『アダム!イヤだ…止めてくれ…。もう…もう、独りは嫌だよ!!アダムッ!!』

『メドゥーサ――ッ!!』
吹き飛んだ体を慌てて起こし、メドゥーサ目がけて駆け出した。
しかし、アダムが光に触れる前に、メドゥーサを包んだ光は、閃光のように弾けて消え去った…。
アダムは、何とも言えない雄叫びをあげた。
喉が枯れんばかりに叫び続けた。