「………なに泣いてんの。」


「渡部くんが…珍しく優しいから……。」


「珍しくってなんだオイ。」


とか言いながらあたしの腕を持ち、あたしを強引に立たせた。


「で?
お前どーすんの?」


渡部くんが腕を組んで聞いた。


「……帰る。」


「…へぇ。
帰れんの?
カップル割で買ったのに?」


…………あ。


「…そうじゃん……。」


あたしはがっくりうなだれる。


白石くんと一緒じゃなきゃ、帰れない。
どうしよう………。


「…てゆーか、なんで知ってるの。」


あたしはふと沸いた疑問を渡部くんに投げ掛ける。


すると渡部くんは当たり前のように言った。


「……お前らの後付けてたから、俺。」