「…なんか言えよ。」


……段々腹が立ってきて、ついつい強い口調で吐き捨てるように言った。

ビクッと体を震わす白石くん。
……でも、なんも言わない。


………イラッ


「あたしと別れようか?」


白石くんは、やはりなんも言わない。


「お…おいおい…」


由宇くんが焦ったように口を挟む。


あたしは完全に無視った。


「あたしのこと、どう思ってんの、ねぇ!!」


あたしは白石くんを激しく揺する。


………それでもノーコメント。



…………プツッと、何かがキレる。


あたしの精神力、今、めっちゃキレてる。


…つーか、何?
なんなのこのだんまりは?
なんなのこの煮え切らない感じ…むしろ煮えてさえない感じ!!


根性なし?
優柔不断?


…………チキン?


そう閃いた瞬間、鶏が勢いよく鳴いた。


コケコッコー……。



…間違ない。
奴は、チキン。

悪質にも程がある、チキン。




電光石火のごとく駆け巡る真実。


彼氏はチキンよ~


なんですって?


チキン彼氏じゃない!!


チーキン
チーキン


彼氏はチーキン。


体の細胞達があたしにそう言ったことで、


ついにあたしの精神力はキレた。


プッツーンと。


「……んの、チキンがぁ………


もう、いっそのこと、本物のチキンにでもなってろ!!」



運命の一言を、言ってしまった。


まさかあんなことになるとは露知らずに。