「…とりあえず、また会ったねーとか言えよ!!」


俺はこの状態を早く切り抜けるため、拓斗に迫る。


「えー…でも…
なんかナンパ野郎みたいでウザくない?」


そう言って一向に行動しようとしないチキン。


お前は女子か!!

どちらかといえばお前のそのチキンっぷりのほうが、

どウザいわ!!!


「なんでもいーから早くしろよ!!」


「うーん…わかった。」


とは言うものの拓斗はなにもしない。


………この、

アホチキンが!!


「あのさぁ!!」


イライラが最高潮に達した俺は偽大和撫子に話し掛ける。


すると偽大和撫子は、はっとしたように顔をあげた。


「な…なんでしょう?」


「こいつ、白石拓斗。
んで、俺は蒔田那央!!

同じクラスだし、これからよろしく!!」


俺はそう言って拓斗を引き連れ教室を出る。


すると後ろのドアから偽大和撫子とその友達が飛び出してきた。


「蒔田!!」


え…いきなり呼び捨て!?


「あたしは南野莉子!!
この子は坂城麻耶!!
よろしく!!」


そう言ってニコッと笑う偽大和撫子…いや、南野莉子。


そして、控え目にペコッと頭をさげる坂城麻耶。


「うーん…
なかなか、だな。」


「え?」


拓斗がビクッと俺の言葉に反応する。


「あ、安心しろ。
偽大和撫子じゃなくて、本当の大和撫子のほうだ。」


「?」


首を傾げる拓斗。


うーん…
チキンだし鈍感だな、こいつ。